トルコ国における復興計画策定支援

NEEDS

2023年2月6日に発生したトルコ・シリア地震は、マグニチュード7.8を記録し、少なくとも5万3千人の死者を含む多くの被害が発生しました。多くの建物が倒壊し、災害に強い街づくりの意識が高まっています。災害対策はトルコ国における主要課題の一つであり、「第12次国家開発計画(2024~2028年)」において、減災への取組を通じた、災害への理解促進や災害に強靭な社会の構築、災害による人命・資産損失の最小化を掲げており、防災の取り組みを推進しています。

地震被害を受けた街の中心部

SOLUTION

日本工営は、トルコ国「ブルサ大都市圏における地震リスク軽減・防災計画プロジェクト」および「地方自治体の災害リスク管理及び廃棄物管理能力向上プロジェクト」の業務を独立行政法人国際協力機構(JICA)より受注し、地方自治体の災害リスク管理と廃棄物管理に関する技術支援に参画してきました。

また2023年2月のトルコ・シリア地震を受けた追加支援の一環として、より良い復興の実現に貢献するために、2023年8月以降は復旧および復興プロセスの都市計画も支援にかかわる業務にも取り組んできました。この復興計画策定支援のモデル都市であるカフラマンマラシュ大都市の「BBB(Build Back Better:より良い復興)計画」が、2024年3月5日に公表されました。本計画は、地震で被災したカフラマンマラシュ大都市を、計画策定から10年の間で被災以前より災害に強い都市に復興し、発展させることを目的としたもので、都市の強靭化に資する物理的なインフラプロジェクトに加え、長期的な大都市の経済発展と持続可能性を考慮し、社会的・経済的環境に付加価値を与える政策も含まれています。

  • 株式会社エイト日本技術開発、八千代エンジニヤリング株式会社との3社共同受注事業。
市長(左写真中央)も交えた合意形成の様子

POINT

「強靭な街づくりへ 革新的再編計画」

このBBB計画の策定過程では、地震災害リスクの理解に基づいた計画案を立案するとともに、パブリックコメントの実施により市民の声を取り入れています。日本工営の開発計画部、総合防災部、地質部、交通計画部、資源循環部の5部署がカフラマンマラシュ大都市圏庁のニーズに応えた技術支援を行いました。 この結果、2034年を目標年とした将来都市構造とインフラ整備事業含む各種施策が網羅された革新的な計画が策定されました。キープロジェクトの一例では、耐震性に優れた水道管路網の導入を通じて災害に強い街づくりを目指すことがあげられています。

自治体職員とワークショップを開催し意見聴取
日本の震災復興知見・実績についてレクチャー
本邦研修で日本の地震復興について学ぶ自治体職員
復興計画

VOICE

地震後の緊急対応として、短期間で熟度の高い計画検討が求められる現場でした。トルコ国では中長期的な復興計画を策定する法制度が無いため、計画の仕組み・体系から双方の認識共有を図り、対象自治体にとって使い勝手の良い形にカスタマイズしながら計画を作成しました。インフラ被害分析や整備検討も含め、日本工営の総合コンサルタントとしての強みを発揮した案件となりました。本計画の実効性を高めるため、計画内容を既存の法定計画に落とし込むためのモニタリングを実施中です。カフラマンマラシュ市民の生活再建と都市の持続的発展に少しでも寄与する計画となるよう、チーム一丸となって取り組みました。

復興計画チームリーダー 開発計画部
尾崎 健人

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