都立明治公園における土木と建築の融合
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東京都初のPark-PFI事業として2024年に全体オープンした都立明治公園
都立明治公園は、Park-PFI(公募設置管理制度事業)※によって、2024年に全体オープンしました。この事業は、東京建物株式会社を代表構成団体とし、三井物産株式会社、日本工営都市空間株式会社、西武造園株式会社、株式会社読売広告社、株式会社日テレ アックスオンを構成員とするコンソーシアムが進めており、6社が設立したTokyo Legacy Parks株式会社(以下「TLP」)が指定事業者として東京都から認定を受け、新たな公園の整備・管理運営を行っています。
- ※公募によって選定された民間事業者が都市公園において飲食店や売店などの公園施設を設置し、そこから得られる収益を公園整備、維持管理等に還元する制度
ID&Eグループの日本工営都市空間は、店舗棟をはじめとした7棟の建築、公園の設計・監理等を担当しています。土木と建築の融合に強みを持つ日本工営都市空間ならではの工夫をご紹介します。
「地形」と「水」に注目した設計
都立明治公園は、1964年東京オリンピックの開催にあわせて整備された記念すべき都立公園です。新国立競技場に隣接した利便性のある土地ながら、神宮外苑から新宿御苑の一帯の緑地帯を形成しており、時代を超えて緑の空間が継承されています。
本整備は、開園から60年以上が経過し周辺環境や人々の生活が大きく変化したことを受け、次の100年のために、公園を通じて、都心をより魅力的なものとするために行われました。
再整備にあたり、日本工営都市空間が重視したのは「地形」と「水」です。
・多くの人が自然に親しみ、安全安心に、おのおのが自分らしく、公園で過ごす時間を楽しんでほしい。
・都心部において貴重な緑空間で子供たちに、土に触れて自然を感じてほしい。
そのような思いから、周辺地形をいかした杜と広場、水の道をつくるアイディアが生まれました。雨がふっても、砕石を敷き詰めた道にそって水が流れ、池にたまり、自然に地下に水がしみこんでいきます。そこで一定量が溢れたら、レインガーデンに流れますが、さらにそこでも溢れたら広場地下貯留槽で浸透できるようにしています。水の道をつくることで、ゲリラ豪雨が発生した場合であっても、雨水が一気に流れて溢れないように設計しています。また、その水の流れは、里山の風景のように高い場所から低い場所へと人の視線や動線、活動を誘導し、都市へと緩やかにつながります。

散策や休憩などで楽しんでもらうために、もともとこの地にあったモノなどを随所に配置しています。歴史を継承し、次の世代に引き継いでいます。

インクルーシブな空間へ
都立明治公園は、「希望の広場」「インクルーシブ広場」「みち広場」「誇りの社」ほか店舗棟など様々な施設が備えられています。
公園内の「インクルーシブ広場」には、普通の公園にあるブランコや滑り台ではなく、体全体で遊べるような遊具があります。ここでも傾斜を利用して、デッキに座れるスペースを設計し、ゆっくりと公園で過ごすことが可能となっています。

「希望の広場」は天然の芝生でおおわれており、思い思いの時間を過ごせます。
「誇りの社」は、約7,500㎡のエリアに落葉樹508本・常緑樹214本を植樹しています。長期的な目線で植樹されており、低木や地被植物などが今後、バランスよく自生していくことが期待されています。
希望の広場と誇りの杜は、園路により緩やかにつながっており、来園者が園内を回遊できるように設計されています。公園全体の起伏をいかしつつも、来園者が歩く際には傾斜を感じないよう工夫をこらしています。
夜も、建築やベンチなどの間接照明を利用し、照度を確保しつつ、落ち着いた空間を演出しています。

担当者インタビューは以下の動画よりご覧ください。