日本工営都市空間、都立明治公園で東京都初のPark-PFI事業

CHALLENGE

公園を建築・設計・監理、そしてPark-PFIを活用し新たな整備・管理運営

都立明治公園は、東京都初のPark-PFI事業として2024年に全面開業しました。Park-PFI（公募設置管理制度事業）とは、公募によって選定された民間事業者が都市公園において飲食店や売店などの公園施設を設置し、そこから得られる収益を公園整備に還元する制度です。事業期間は運営開始から20年間で、年間250万人の来園者を目標としています。

この事業は、東京建物株式会社を代表構成団体とし、三井物産株式会社、日本工営都市空間株式会社、西武造園株式会社、株式会社読売広告社、株式会社日テレアックスオンを構成員とするコンソーシアムが進めており、6社が設立したTokyo Legacy Parks株式会社（以下「TLP」）が指定事業者として東京都から認定を受け、新たな公園の整備・管理運営を行っています。
日本工営都市空間株式会社は、都立明治公園のPark-PFI事業において、主に建築、公園の設計・監理・プロジェクトマネジメント・運営モニタリング・サステナブルレポートを担当しています。

SOLUTION

質の高い維持管理と新たなパークライフスタイルを提案

国立競技場の前庭空間の約1.6ha を事業対象地として TLP が整備を推進しています。園内には5棟の建物を配置し、カフェ等の飲食店、アウトドアアクティビティショップ、リラクゼーション施設などが運営されています（総テナント数6店舗）。建物は分棟配置することにより、事業期間終了時に店舗を撤去した後も公園内に大きな空白地が生じない配慮をしており、公園が持続的に機能する計画としています。建物は木製ルーバーを設けたほか外壁にアースカラーを採用することにより植栽などの四季折々の風景と調和するデザインを採用しました。公園を起点にスポーツを行うきっかけとなるリラクゼーション施設や、子供たちの遊びや園内での活動をサポートするアウトドアアクティビティ施設をはじめ、多様なニーズに応える店舗を配置することで、新たなパークライフスタイルを提案します。

事業対象地と既存公園との接続を担う歩行者デッキについても約20年間、維持管理を行います。TLPは、特定公園施設の指定管理者としても選定されており、公募対象公園施設と一体となった質の高い維持管理を進めています。

● 都立明治公園の概要
所在地：東京都新宿区霞ヶ丘町5-7
公式サイト：https://www.meiji-park.com/
敷地面積：16,179.54 ㎡
建築面積：1,351.29 ㎡
床面積：2,785.41 ㎡
構造：鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造
開園：2023年10月31日
主な施設：希望の広場、インクルーシブ広場、みち広場、レインガーデン、誇りの杜、管理棟、トイレ棟、テナント棟（A～E 棟）

POINT

あらゆる世代の方々に向け、多彩な体験の場を提供

TLPは、「世界に誇れる、東京という都市の“レガシー”となる公園を創り、責任を持って持続的に運営、希望と誇りと共に次世代へ継承」を事業コンセプトとしています。

1.
「100年続く杜」を目指す「誇りの杜」
雑木林をイメージした約0.75haの樹林地が配されています。開園時から完成形とするのでなく、落葉樹や苗木も植樹するハーフメイドとし、木々の成長を地域の方や訪れた方にともに楽しんでいただくことを企図しています。開園前には、地域の皆様と植樹祭も行いました。
またセットバック（土地の一部を歩行や憩いの空間として拡張すること）により、公園と街がシームレスにつながり、境界線を感じにくく、街に溶け込む設計になっています。
2.
個性ある3つの広場
歩道空間を7m拡張し渋谷川水景を現代風にアレンジし再現した「みち広場」や、国立競技場と同芝種を採用した約1,000㎡に及ぶ「希望の広場」、活動に応じて遊具等の配置を変更できる「インクルーシブ広場」の個性ある3つの広場を整備しています。広場周囲には、子どもを見守る親も利用できるよう、ベンチを景観に溶け込む形で配置し、誰もが安心できて居心地の良い空間をデザインされています。
3.
DX設備を管理運営の改善に活用
来園者数の測定等が可能なスマートポールを設置しており、内蔵されたAI Beaconなどを用いて平均訪問回数や来園者数の測定が可能です。周辺施設の稼働に伴う来園者数の変化を把握することで、イベント企画や混雑想定時の警備計画等に生かし、柔軟で持続的な公園管理を実現します。また、デジタルサイネージを導入し、公園案内や季節のイベント情報の周知に加えて、周辺地域の施設やイベント情報など、地域における情報発信拠点としての役割が担えるようになっています。

誇りの杜