ベトナム・ロンスエンバイパス道路が開通 地域道路網の利便性向上に貢献

複数の国の専門家が1つのチームとして結集

ベトナムのロンスエンバイパス道路が2024年6月に開通しました。
本プロジェクトはオーストラリア政府外務貿易省、韓国輸出入銀行、アジア開発銀行が共同で援助するODA事業であり、日本工営およびID&Eグループのベトナム現地法人NIPPON KOEI VIETNAM INTERNATIONAL(以下、NKV)が、ベトナム地元企業とともに共同企業体(NK-TEDIS-NKV-HN)を組成し、詳細設計、施工業者入札サポート、施工監理サービスを提供しました。新規道路15.3km、2つの主要橋梁、16の小橋、3つの主要交差点がプロジェクト範囲として含まれ、調査および詳細設計/施工図作成の作業は2021年6月~2021年11月に実施、施工業者入札サポートは詳細設計と並行して行い、2022年1月に完了しました。その後2022年1月に着工、約2年半の工事期間を経て、2024年6月16日に開通式が行われました。現在はプロジェクト引渡しと瑕疵担保対応が進行中です。
2024年6月の開通式では、ベトナム国家副主席のボー・ティ・アイン・スアン氏 やグエン・バン・タン交通運輸相、中央省庁や地方省の関係者を含む120名以上が出席しました。共同企業体(NK-TEDIS-NKV-HN)からも代表者が参加し、開通を祝いました。

開通式の様子
共同企業体(NK-TEDIS-NKV-HN)の各代表者
  • South Transport Engineering Design Joint Stock Incorporated(TEDIS) 、Hung Nghiep Construction Consulting (HNC)

移動時間を約半分に短縮、地域全体の経済発展にも貢献

ベトナム政府は、メコンデルタ地域の急速な経済成長による交通需要の増加に対応するため、交通網の整備に取り組んでいます。本プロジェクトはカントー市、アンザン省、カンボジアを結ぶ重要な交通路である国道91号線とロンスエン市バイパスを接続し、同国道の円滑な道路交通機能を確保する、アンザン省とカントー市にとって重要なプロジェクトです。これまでは国道91号線のみを使用した場合、カンボジアとの国境近くにあるアンザン省のチャウドック市からカントー市のバムコン橋まで車移動で2時間を要していましたが、同バイパス道路の開通によって約1時間に短縮されています。
地域道路網の利便性が向上したことで、ロンスエン市中心部を通過する道路の交通渋滞緩和や交通事故数の軽減のほか、メコンデルタ地域全体、特にアンザン省の社会経済発展、国防、安全保障を促進する原動力となることが期待されています。特に、カオラン橋、ヴァンコン橋、カオラン橋~ヴァンコン橋高速道路、ロテ~ラックソイ高速道路など、中央メコンデルタ地域における高速道路プロジェクトとの複合的な効果を生むと考えられます。

軟弱地盤や気候変動にも対応

本プロジェクトの最大の課題は軟弱地盤対策でした。そのためのソリューションとして、盛土と橋梁区間の不等沈下への対応のため、40m以上の軟弱地盤層がある橋台付近の区間に緩衝スラブの設置、地盤改良工法として30m~40mの軟弱地盤層の区間にセメント深層混合処理(CDM)工法、同25m~30m区間にサンドコンパクションパイル(SCP)工法、その他の軟弱地盤層区間にはプレファブリケイティッドバーチカルドレーン(PVD)工法を採用しました。また、アジア開発銀行の要求事項である気候変動の緩和と適応への対応として、盛土法面での植生工法の適用や海面上昇を考慮した設計、再生建設材の使用等のネイチャーベース・グリーンソリューションを適用しました。詳細設計および施工中の数量管理にはBIMツールを活用し、業務効率を大幅に向上させました。

セメント深層混合処理(CDM)地盤改良風景
サンドコンパクションパイル(SCP)地盤改良風景
詳細設計および施工時の数量管理におけるBIMツール(出典: NK-TEDIS-NKV-HN)

VOICE

NK-TEDIS-NKV-HN JVが実施した詳細設計/施工図作成、施工業者入札サポート、施工監理に関するコンサルティングサービスは、品質と進捗管理の点でProject Management Unit(PMU)とアジア開発銀行から高く評価されました。
世界自然保護基金(WWF)によると、メコンデルタは世界的にも気候変動、沖積土の喪失、淡水不足、地盤沈下、塩水化に対して脆弱なデルタの1つです。そのため、コンサルタントチームは多くの解決方法を検討し、当該地域の持続可能性と気候変動への適応を確保しながら、適切な施工方法を提案したことが、高い評価に繋がったと認識しています。
本プロジェクトは、メコンデルタ地域における気候変動適応型道路建設の代表的なプロジェクトであり、一連の業務において円滑かつ効果的な作業実施のため、複数の国の専門家が1つのチームに結集し、ID&Eグループが中心を担って実施、管理、運営されたプロジェクトです。NIPPON KOEI VIETNAM INTERNATIONALにとっても次のステップに繋がる貴重な機会となり、この経験を今後の業務に活かしていきたいと思います。

Pham Van Buong
NIPPON KOEI VIETNAM INTERNATIONAL
インフラ開発部長
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