しなやかに、柔軟に 日本工営グループを進化させるビジネスコンペ 社内ビジネスコンペへの想いと新規ビジネス事業化支援の取組み
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INTRODUCTION
2022年3月末、日本工営グループの国内全拠点を対象とした『第一回スマートシティビジネスコンペ』の結果が発表されました。全社規模の常設コンペは、長い歴史の中でも初の試み。48件の応募が集まり、その中から最優秀賞に1チーム、優秀賞に5チーム、佳作に10チームが輝きました。このうち優秀賞の2チームの案は、すでに実現に向けたスキームに入っています。第二回目の2023年度は、海外拠点も含めた日本工営の全グループに規模を拡大。更に、大きな飛躍を目指しています。

PROFILE
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日本工営株式会社 営業本部 ビジネスインキュベーション統括部 事業開発室
成田 康介(なりた こうすけ)
2018年10月入社、グローバル戦略本部(現:営業本部)に配属。分野を問わず、国内外の新規事業開発等に従事する。第一回スマートシティビジネスコンペのリーダーとして、プロジェクトの立ち上げや設計の先頭に立ち、成功に導いた。2023年度の第二回では、受賞したアイデアを実現するための事業化支援活動に注力する。
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日本工営株式会社 プラント事業部 情報通信技術部
大塚 雄一郎(おおつか ゆういちろう)
2013年入社、機械・情報通信技術部(現:情報通信技術部)に配属。国内及び海外を対象に情報通信技術を活用した様々な建設プロジェクトに従事。第一回スマートシティビジネスコンペでは事務局スタッフとして活躍し、2023年度の第二回ではリーダーを務める。
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日本工営都市空間株式会社 技術本部 DX推進室
黒岩 剛史(くろいわ たけし)
2000年4月に玉野総合コンサルタント(現:日本工営都市空間株式会社)に入社、地理情報部(現:総合調査コンサルタント事業本部地理空間情報部)に配属。デジタル技術を活用した社内の業務改革の支援、新規サービス開発等に従事。第一回、第二回ともにコンペ応募サイトの構築や審査データの分析に従事。
- ※部署名および役職・インタビュー内容は取材当時のものです
STORY
社会課題解決型のソリューションが求められる時代だからこそ、発想力・技術力・実現力を社内で競い合う
―複雑化・多様化する社会の課題を解決するために、複数の専門領域を掛け合わせた解決策が求められる時代になってきました。スマートシティやMaaS、エアモビリティ、メタバースなどは、その具体例の一部です。この中でもスマートシティは、インフラづくりに取り組んできた日本工営にとって新しい切り口が見つかる可能性が高いテーマ。そこで、全グループ規模のビジネスコンペを常設し、定期的にアイデアを発掘する機会を創出しました。このプロジェクトの中核を担う3名に、これまでの歩みと今後の抱負を聞きました。
昨年度(2022年度)の第一回コンペの立ち上げにあたり、リーダーを務めました。社内初の試みで何もないところからスタートしたため、大変だったことは確かです。チームのメンバーたちも私も、かなり鍛えられました。
最も大変だったのは、弊社らしいスマートシティとは何かを言語化する作業です。これまでにないアイデアをどの方向性で出してもらうべきか、チーム内で数えきれないほど議論を重ねました。
プロジェクトが立ち上がったのは、2021年の春です。そこから半年で応募が始まるスケジュールを立てたため、今振り返ると信じられないほどのスピードで動き続けました。少しでも道筋が見えたら走り始め、考えながら最適解を見つけていく。従来の弊社の仕事スタイルではあり得ない進め方でしたが、若手主体のチームにしかできないことだと先輩方にも応援していただけました。ですから、応募が想定を上回る48件だったと知った時は、喜びが爆発しましたね。
私は応募用のサイトの管理と集計業務などを担当しました。最も大変だったのは、どのような設計にすればスムーズに応募や審査ができるのか、バランスが良い落としどころを見つけること。そして、システムを認知してもらい、登録者を増やすことでした。
第一回は手分けをしてポスターやチラシで告知をしました。そのため認知度が高まり、応募者が集まったのだと思います。今回は海外拠点も加わるため、汗をかくアナログ手法だけでは通用しません。また、英語での対応力も問われます。このように課題が次々と出てきますが、チーム全体でフォローし合いながら、今年も成功させようと強い決意を持ってプロジェクトに携わっています。
大変だったことがもうひとつありました。応募のデータ管理を任されているため、全応募の詳細を私だけが知っている時期があります。前回も、「道路の有効活用をデジタルソリューションで解決しよう」「一次産業とIoTを掛け合わせてみよう」など、すぐに日々の業務のヒントになりそうなアイデアもあれば、まだまだブラッシュアップできそうなものもありました。もちろん、公平を期すために誰とも話さなかったのですが、今回もたくさんガマンするのだろうなと思います(笑)。

第一回はチームメンバーとして参加しましたが、第二回でリーダーを務めることになりました。私は熱く人を鼓舞するよりは、より良いロードマップとチームを作り、コツコツと成果を積み上げていきたいタイプ。第一回のリーダーだった成田さんとは違うキャラクターなので、むしろおもしろいと考えています。
第一回で行ったテストの結果が出た後の第二回ですから、良くなって当たり前。そう誰もが思うからこそ、周囲の期待を超す結果を目指したいです。具体的に改良したのは、事業化支援部門とアイデア部門というふたつの入口を設けたこと。前回は「新規事業を創出するためのコンペ」というひとつの方針だったので、事業化までしっかりと考えられている案と、アイデア一発勝負みたいな案が混在したまま審査が進みました。今回は両者の良さをもっと引き出せる設計に変えました。また、第一回では応募対象を国内の従業員のみとしていましたが、今回はアイデア部門においては海外の従業員も対象とすることで間口を広げています。
関わりの人口を増やし、若手でも大きな事業にチャレンジできる体制を整えて、第二回の成功に結びつける
―メンバーたちが大切にし、応募の要綱の中にも明文化されているのは、「わくわくする」という言葉です。新規事業といえば、鮮やかな切り口や収支設計の話になりがちですが、「人の心」に着目していることも、このコンペの大きな特徴。何よりも自らがわくわくするような行動を続けてきたメンバーに、プロジェクトに携わるやりがいや喜びを尋ねました。
「わくわくする」という評価を入れたきっかけは、できるだけ社内の人を巻き込みたかったからです。ほとんどが審査員による配点ですが、この項目は社員の投票により加点される方式にしました。結果、248名が投票してくれたので、次につながる認知度の向上を果たせたと思います。何よりも、「わくわくする」という言葉と接していると、自らもそうありたいと思えてきます。言葉って不思議ですね。
また、このような大規模なコンペをプロジェクトとして立ち上げるという経験は、なかなか得られるものではありません。決められたフォーマットは一切なく、ゼロからチームで議論を重ねながら形にしていく工程は、やりがいに満ちていました。そして、何よりもおもしろかったし、わくわくしました。
第二回では、私は事業化支援のサポートに携わります。新規事業創出の領域では、1000のアイデアのうち数個でも実現できれば良い方だという声を聞きますが、可能な限り多くのアイデアを形にして世の中に羽ばたかせたいです。
うれしかったのは、横のつながりができていくことです。先日も部内で定例の新規事業検討会を行ったのですが、その中でコンペの応募作とコラボレーションできそうなアイデアが出てきて双方をつなぐことができました。これまでの部単位という考え方では巡り会えなかった魅力的な人を知り、つながれることに大きな可能性を感じています。これからもコンペの度に、部の垣根を越えたつながりが増えていくことは間違いありません。より良い未来を自分たちの手で作れることにやりがいを感じています。
アイデアコンペというと、どうしても出す人が決まっている印象でしたが、全グループを巻き込んだ規模で開催すると、想像を大きく超えることが起きるのだと感動しました。素晴らしいアイデアがたくさん出てきますし、何よりも積極的な若手がたくさん出てきてくれるのがうれしい。実際に第一回では新入社員の応募があり、受賞も果たしました。第二回はアイデア部門があるので、裾野はさらに広がるのではないでしょうか。
私はコンペの意義のひとつに人材育成があると考えています。これからの時代を生き抜き活躍していく会社になるためには、若手が活躍できる環境を整えなくてはなりません。グループ全体の推進力を生み出すプロジェクトに携われること自体に、やりがいを感じています。
コンペをもっと盛り上げていく
でも、将来的にはコンペがなくても新規事業が創出できる企業になる
―コンペを行ったことで、すでに社内には良い影響が生まれ始めています。アイデアを遠慮せずに発言できる雰囲気が醸成され、「私もやってみたい」という能動性が随所に見られるようになりました。最後に、これからの理想について3名に聞きました。
もちろん、コンペが5年、10年と続いていくことは、とても良いことだと思います。しかし、本当に良いのはコンペがなくなることではないでしょうか。そのような機会がなくても、社内の様々な人から新規事業の声が上がってくる未来こそ最終的な目標です。どんどん横のつながりを育み、臆することなくトライアンドエラーを繰り返しながら、社会に貢献できる事業を生み出していく存在でありたい。コンペはそのスタート地点だと考えています。
日本工営はこれまで、専任技術者が自らの技術を深掘りして極めていくことで、他にない存在を目指していました。でも、どんどん総合力が求められる時代になっていると感じています。コンペを重ねていくことで、日本工営の強みを再発見する人も増えていくはず。磨き続けてきた専門領域が重なり合うソリューションこそ、私たちだから作れるもので、社会が最も求めているものです。コンペから生まれた事業が、会社のメイン事業になることが成功への第一歩。今年度、リーダーとしてその実現のために最善を尽くしてがんばります。
日本工営グループは、社会課題の解決をずっと続けてきた会社です。その国や地域の人々のために何かを考えるのは得意中の得意。一方で「稼ぐ力」については、公共事業案件が多かった歴史もあり、もっと磨かなければならないスキルだと考えています。
これからも専門領域だけで食べていけるだけの技術力はあると思います。でも、それだけでは、わくわくしませんよね。もっと社会にインセンティブも含めた課題解決を提供していきたいし、必要な素養が鍛えられるビジネスコンペに育てていきたいです。今年の応募が、今からとても楽しみです。
―日本工営が掲げている目標は、コンサルティング業界で世界のトップ10入りを果たすことです。これまで培ってきたものは何か、時代に求められるものは何かを常に考えながら、「誠意をもってことにあたり、技術を軸に社会に貢献する。」という経営理念のもと、日本工営のスマートシティを実現します。