AIによる材質判定と、打撃音記録アプリでDXを推進

インフラの維持管理の点検での課題

日本国内では高度成長期に構築した社会インフラが耐用年数を迎えることが課題となっています。少ない予算・要員でインフラ管理を行うためには、効率的に管理・運用する仕組みが必要です。点検において、定量的に評価できる技術として、岩盤やコンクリートを叩いた際に発生する音で、欠陥の有無を判断する方法があります。しかしこの方法は、技術者の経験に基づいた聴覚に判断が依存するため、結果にばらつきが生じる可能性があります。技術者の経験に基づかず、正確に・効率的に点検を行うための仕組みが必要でした。

打撃音記録アプリ「DAOOON」を公開

この課題を解決するため、日本工営では、熟練技術者の判断を学習したAIモデルを開発しました。
また、様々な材料への適用性を拡大するために、容易に打音を定量化するための打撃音記録アプリ「DAOOON」も開発しています。
本アプリは音の可視化と記録を目的としています。打撃の瞬間に鳴る音をキャッチし、その重心周波数を記録しグラフにプロットします。開発に当たっては、携帯性を重視し、iOS専用フリーウエアとして設計しています。技術者が聴覚で聞き分けている音を録音・周波数化することで感覚的に捉えている音を数値化し、判定を補助します。端末に保存されるデータは、音ファイル(.wav)、入力したメモや位置情報ファイル(.csv)です。これらのデータは、iPhoneの標準機能を使ってデータ転送することが可能であり、容易に操作が可能です。
土木業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進を目的として、打撃音記録アプリ「DAOOON」はApple Storeで無償で公開しています。

開発者の声

「DAOOON(読み方:だおーん)」を開発したきっかけは、土木業界において、しばしば定性的、属人的な判断になりかねない「聴く暗黙知」を「見える化」したい想いがあったからです。土木業界の先人たちは、これまでも、様々な音の判定装置を開発しています。
今回のDAOOONの開発にあたっては以下を重視しています。
・デバイス依存性が低いこと
・簡易に音を可視化・記録できること
・AI構築に活用可能であること
打音は、岩盤やコンクリート由来の材料だけではなく、様々な材料の品質管理等に使われています。DAOOONを活用し、感覚的に判断しているその音を可視化し、多くの現場で品質向上や効率化につなげていただきたいと考えています。

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